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2024年3月14日
平均勤続年数の正しい見方~「平均勤続年数が短い=離職率が高い」ではない理由
こんにちは。リージョナルキャリア大阪(株式会社グリッド)のコンサルタント、吉田です。
先日ご相談をいただいた転職希望者の方に、ある上場企業の求人をご提案したところ、「調べてみると平均勤続年数が短く、辞める人が多そうな印象なので応募を避けたいです」という反応がありました。
業界内でも離職率が低く、働きやすい制度が整っている企業でしたので、私としてはこの反応に驚きを感じましたが、下記の例を参考に説明したところ、納得していただくことができました。
「老舗企業」と「急成長企業」の比較
平均勤続年数と離職率の計算方法は下記の通りです。
【平均勤続年数の計算方法】
平均勤続年数=常用労働者数の勤続年数の合計÷常用労働者の総人数
【離職率の計算方法】
離職率=1年間の離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100(%)
では、下記の2社でそれぞれ平均勤続年数と離職率を比較してみましょう。
比較しやすくするために同規模の企業とします。
<A社>
設立から100年の老舗安定メーカー。
ベテランには過ごしやすく、40~50代が多く在籍。若手も老舗安定ということで採用はできているが、定着に問題がある。
【従業員数】100名
【勤続年数】30年:30名/20年:30名/10年:20名/5年:10名/1年:10名
【1年間の採用人数】10名
【1年間の離職者数】10名
↓
<平均勤続年数>
(900+600+200+50+10)÷100=17.6年
<離職率>
10÷100×100%=10%
<B社>
設立から10年のITベンチャー。
自社開発のクラウドサービスが好調で、設立5年目以降は毎年二桁成長を続けている。今後の成長も見込んで採用数を大幅に増加。
【従業員数】100名
【勤続年数】10年:20名/5年:35名/1年:45名
【1年間の採用人数】45名
【1年間の離職者数】5名
↓
<平均勤続年数>
(200+175+45)÷100=4.2年
<離職率>
5÷100×100%=5%
いかがでしょうか。平均勤続年数を見ると、A社の方が圧倒的に高い数値ですが、離職率を見るとB社の方が低い数値になっています。
では実際にはどちらが働きやすいのでしょうか。
A社では、昔から在籍するベテラン社員は慣れ親しんだ環境で充実感を感じながら仕事ができているかもしれません。一方で、B社は将来の成長に期待を持ちながら、同じ価値観を共有するメンバーと未知の未来を創っていくという面白さがあるのかもしれません。
A社もB社も、人それぞれの価値観によって働きやすさの感じ方は違い、どちらが働きやすいかは個人の価値観によります。
自分にとっての最適な環境を判断するために
上場企業であれば、有価証券報告書を通じて平均勤続年数や離職率を確認できますが、設立からの年数が短い企業や急成長中の企業は、平均勤続年数が低く出る傾向があります。
しかし、これまでお伝えした通り、平均勤続年数が短いからといって必ずしも離職率が高いとは限りません。労働市場の変化や個人の志向、企業文化、産業の特性など、平均勤続年数や離職率には多くの要素が影響します。
最近では、企業規模や歴史に関係なく、人材確保を目指す企業では「柔軟性のある働き方」が重要視されています。また、多くの企業が新しい働き方を取り入れ、人材獲得や定着のためのさまざまな取り組みを行っており、労働環境も多様化してきています。
「平均勤続年数が低い=離職率が高い」という勘違いを避けるためにも、さまざまな視点で企業研究をすることが大切です。
私たちは、これらの要素を考慮しながら、皆さんが自分にマッチした選択ができるようお手伝いができればと考えています。今後の企業選択の際の参考にしていただければ幸いです。
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